threewitches’s blog

元々は舞台・映画鑑賞が大好き。でも最近はテレビを見る時間が出来て、今までを取り返すかのようにドラマを見まくっています。そんな中、感想や独り言を思うままに書き留めたブログです。

カメレオン俳優

最近よく見かける言葉「カメレオン俳優」。ネット上のドラマや映画に関する記事だとか、俳優さんのインタビューの紹介文なんかでなにかと見かける。記事を書く人も、枕言葉に使うのに便利だからってだけで、本当に思ってるのか疑わしいくらい乱用されてる気がする。と、言うのも、ただ今まで色んな役柄を演じてきて、その役柄のタイプをズラーっと並べて見ると多種多様だからこの人カメレオン俳優って言っておけば格好もつくし、なんだか記事も様になるからとりあえず書いとけ、ってテンションを感じるのは気のせい・・?でも、それって、役柄のラインナップを見たら、そのラインナップ自体がカメレオンってだけで、それを演じた俳優がカメレオンってのとは違うのでは、と言う違和感。ふつふつと湧いてきて、気になってしまって、なんだかそれについてずっと考えちゃうからとりあえずここに書いてみることにした。

 

金髪にしたり、刺青をいれてみたり、スーツを着たり和装になったり、そんな風に見た目を変えてるだけでカメレオン俳優ってはたして言えるのだろうか。

 

つい最近、「三度目の殺人」と言う映画を見た。役所広司主演。その翌週くらいに、今度は映画館で「孤狼の血」を見た。「孤狼の血」は凄くおもしろかった。久しぶりの邦画ヒット作品!映画館で見てよかったし、思わずLINEで兄にも勧めた。もう一度見たいと思うくらい。多分また映画館で見ちゃう。この感想はまた別な機会に書けたらと思うけど、なによりも、役所広司という俳優。どの台詞もどの動きも全部痺れたし、格好良かった。そしてなにより「三度目の殺人」を見た直後だったから、演技の振り幅に感服、眼福、脱帽。

 

「三度目の殺人」の中で、殺人を犯した役所広司演じる男について、どんな人物か聞かれた知り合いが、「あいつは空っぽの器のようなやつだ」(多分こんなような台詞)と言うシーンがあった。妙に心に残って、それは映画の結末にも繋がる伏線なのだけれど、カメレオン俳優って?と考えを巡らせていた時にこの台詞が頭に浮かんだ。それはまるで、役所広司という俳優が「空っぽの器」みたいだな、って思えたから。どんな役も、役所広司という「空っぽの器」に入れると彼は変幻自在に変化して、血の通った一人の人間を創り出し、見る人の心を揺さぶる。そんな風に。そして本来カメレオン俳優ってそんな俳優のこと?とぼんやり思う。空っぽの器。本当は空っぽなのかも分からないくらい謎めいている器。かっこいいなぁ。

 

ところで、その最近やたらと乱用されている気がする「カメレオン俳優」という枕言葉。女優さんに使われているのはほとんど見かけない。それも気のせいだろうか?